聴覚障害学生9名

○情報保障活動について

 東海大学では、ノートテイク、手話通訳、パソコン要約筆記を主に活動しています。“障がい学生支援プロジェクト”という学生支援団体を中心に、学期ごとに1回、ノートテイク講習会を開いています。ノートテイカーやパソコンテイカーの中には、ノートテイクに関して悩みを持っている人もいれば、知識があまり持ち合わせていない人もおり、勉強会や意見交換の場を必要としています。大学内のみならず、地域の要約筆記サークルにも協力していただき、聴覚障がい学生や学生支援団体、学生ノートテイカー、地域要約筆記サークルの連携を大事にしつつ、充実した情報保障体制ができるように努めています。

○問題点について

 東海大学は20学部もあり、それぞれの学部が一つの大学のようになっており、学部と学部との連携がスムーズにいかず、支援体制が作りにくい状況です。障がい学生支援室も設立しておらず、コーディネーターも学科の事務員にお願いしているため、聴覚障がい学生は自ら友達や手話サークルメンバーなどの中からノートテイカーを探さなければならないのが現状です。

○謝礼金について

 ノートテイカー、パソコンテイカーには、1コマ1500円の謝礼金を提供することが決められています。

○インタビュー

A.Yさん(聴覚障がい学生)

1.「情報保障を受けようと思ったきっかけは何ですか?」

私は中学校の時に情報保障を受けていました。しかし、クラスメイトの視線に耐えられず途中で止めてしまい、授業についていけなくなりました。高校からまた情報保障を受けるようになると、授業の内容だけでなく、クラスメイトの発言も分かり、授業が楽しいと思うようになりました。大学は板書がほとんどなく、授業も難しいと聞いたので情報保障を受けることにしました。

2.「あなたは情報保障制度を実際に利用してみてどう感じましたか?」

先生が話している内容だけでなく、クラスメイトの発言や雑談、教科書やプリントのどこを読んでいるのかがスムーズに分かり、聴覚障がい者の私でも他学生と一緒に授業に参加しつつ学ぶことの楽しさを知りました。しかし、やはりノートテイク講習会などノートテイクを勉強する場が少ないように思います。

3.「情報保障制度について、もっとこうしてほしいとかはありますか?」

 先ほどにも言ったように、ノートテイクを学ぶ場が少ないことです。学ぶ場を増やすことで、ノートテイカー不足の解消にもなるのではないかと思います。

○今後の改善点や取り組んでいること

これまでの活動が功を成し、大学側が外部からの支援団体(地域サークル)による授業のノートテイクをつけてもらうこと認められました。(今までは、外部の人を授業の中に入れることは、大学則で禁じられていた。)しかし、市からの手話通訳者派遣はまだ認められておらず、現在交渉中です。

大学の支援体制を作るためには、まず障がい学生支援室を設置する必要があります。そのために、自分たち(障がい学生)が積極的に、ノートテイク勉強会や車イス体験会、点字シールなど活動を続けることで、障がい支援の重要性を大学に呼びかけていく必要があると思います。