聴覚障害学生 支援者数
美浜キャンパス…33名 約100名
半田キャンパス…11名 約30名
日本福祉大学(以下日福)にはキャンパスが二つあります。美浜キャンパスと半田キャンパスです。それぞれのキャンパスでの主になされている情報保障は、美浜キャンパスはノートテイク(※OHCテイク)、半田キャンパスはパソコンテイクが主流です。半田キャンパスでは情報系の講義が多く設置され、PCタイピングを得意とする人が多いのでパソコンテイクがメインとなっています。美浜キャンパスは聴覚障害学生の人数が多いため、ノートテイク(OHCテイク)が中心となっています。大学の組織の中に障害学生支援センターがあり、必要な支援を聴覚のみならず肢体不自由・盲学生と共に考え、ボランティアをしてくれるサポート学生の支援を行っています。
●ちし団体について
日福に通う、聴覚障害学生の有志が集まる団体があります。名称は日本福祉大学内聴覚障害学生有志団体(ちし団体)です。この団体は美浜キャンパスと半田キャンパスでそれぞれ活動しています。講義での手話通訳派遣について、またボランティア学生の増加のためにボランティア学生養成カリキュラムの新設を大学機関へ訴えています。また、現状の情報保障を把握するために、1〜4年生で集って受講している情報保障やそれらに関する悩みを語り合ったりしています。
インタビュー
★美浜キャンパス★
美浜キャンパスでは、情報保障を利用している聴覚障害学生のO・Mさん(2年)と、支援センターの専任職員のF・Yさんにインタビューをしました。
聴覚障害学生のO・Mさん
Q 情報保障があることをどうやって知りましたか?
A「入学以前は情報保障があることを知りませんでした。入学して先輩達から教えてもらって初めて知りました。」
Q 普段の講義の様子を教えて下さい。
A「全ての講義に情報保障がついており、OHCテイクがほとんど。ゼミは、前期はテイクだったが後期から手話通訳者二人に来てもらうようになりました。テイクは漏れもたまにあるが、手話通訳は雑談も通訳してくれるので本当に理解できます。」
Q 情報保障を受けてみて何か感じることはありますか?
A「想像していたよりも進歩していました。聴者と同じ学校だったときよりも、手厚い保障があっていいと思っています。」
Q 理想の情報保障は何かありますか?
A「講義のときに学生がみんな見るスクリーンに、テイクの内容も一緒に映っていることです。意図的にある情報保障ではなく、当たり前のように自然に講義室に備わっている情報保障を望みます。」
支援センター専任職員F・Yさん
Q 障害学生支援センターはどのようにして設立されたのですか?
A「日福は30年ほど前から障害学生を受け入れていました。その後、支援学生・障害学生で大学へ要望し、1998年に設立されました。」
Q 学内のボランティア学生(以下ボラ学生)を増やすために支援センターでどんな取り組みをしていますか?
A「まずは障害学生のボラの存在を知ってもらうために、新入生のオリエンテーションや、ゲスト講義として障害支援の説明や、交流会などで障害学生に実際に話してもらう機会を設けています。また、日本福祉大は支援サークルがあり、例えばパソコンテイクをする人が集って技術を教えあったり、悩みを解決して支援の向上を目指しているサークルもあります。でも、ノートテイク支援サークルがないのが課題です。」
Q 学内における現在の講義保障の課題は何でしょうか?
A「最初に、テイカーの質的向上のための対応が不十分です。知識のないままテイクに入ってもらうことがないよう、ボランティア講座をより身近に受講できるようにして、テイカーがレベルアップできる工夫をしていきたいですね。また、聴覚障害学生の知識や交渉力を磨いてもらって、テイカーさんと話し合って書き方や情報の補足など説明できるようになってほしいです。」
☆半田キャンパス☆
半田キャンパスのテイカーのH.Tさん(3年)にインタビューを行いました。
半田キャンパステイカーのH・Tさん
Q テイクを始めた理由は何ですか?
A「去年の後期にマッチング会に参加したことがきっかけです。自分がだれかの役に立つのなら・・と思い参加しました」
Q 実際に今テイクをやってみていかがですか?
A「初めてのテイクはパソコンテイクでした。比較的やりやすい先生を選びました。実際にやると大変でしたが、先輩テイカーさんに助けてもらいながらやるうちに、なんとかできるようになりました」
※OHCテイク…聴覚障害学生が3人以上いる場合、プロジェクタを介してスクリーンに
テイク用紙をそのままの画像で映し出すモニターのこと。(→右の写真参照)